旬感・千年北海道

青函トンネルを抜けて広がる、北の9都な物語

『姥神大神宮』は細かい所まで北前船交易の跡がありました

『姥神大神宮』は細かい所まで北前船交易の跡がありました

【訪問日2013/6/11】
昔ながらの作りの建物が立ち並ぶ「いにしえ街道」の中でも、中世以来の威容を誇る「姥神大神宮」は異彩を放ち、江差の発祥からニシン漁による発展を経て、現代までを変わらぬ姿で見守ってきました。街道の中心にあるため誰でもアクセスしやすく、私たちが取材している間にもひっきりなしに参詣客が訪れていました。
まず目に付くのが、おみくじを結んだ縄が枝から垂れ下がっている木。普通おみくじは横に張った紐に結んでいるのが一般的ですが、ここでは境内が40年前の道路工事で狭くなってしまったための苦肉の策で縄を上から垂らしたそうです。それがかえって景色のアクセントになっています。そしてこの木は「大葉柾(おおばまさき)」と呼び、樹齢400年を誇ります。本州では家と家の境目に植えることが多い木ですが、こんなに大きくなるのは珍しいそうです。社殿の土台や階段に使われている石は「笏石(しゃくだにいし)」で、越前国から北前船交易で運ばれてきました。北前船のバラストとして船底で安定を取るために積んで来たそうです。帰りの船は「俵物」と呼ばれる蝦夷地の産物をいっぱいに積んで本州に戻って行きました。社殿の中には北前船が六艘描かれた絵が奉納されています。この絵も笏石も北前船交易からもたらされた物で、江差と本州(特に近畿北陸地方)とのつながりを感じさせます。ここ姥神大神宮は毎年8月に行なわれる「姥神大神宮渡御祭」の出発地兼終着地なのですが、このお祭りは京都の祇園祭の名残を濃厚に残しており、社殿の中に安置している華麗な御神輿と共に、当時の流行発信地である京都との関わりが分かります。
姥神大神宮の由来には、ニシン漁で栄えた江差ならではの逸話が伝わっており、その逸話の元になる「折居姥」を祀る小ぶりな社が社殿の隣にひっそりと建てられています。姥神大神宮に来る際には、この小さな社や、いにしえ街道の端にある折居お婆さんの居住地跡も探してみるのもオススメです。


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