旬感・千年北海道

青函トンネルを抜けて広がる、北の9都な物語

『イタリア風居酒屋 パレス』のメニュー開発裏話

『イタリア風居酒屋 パレス』のメニュー開発裏話

【訪問記 2015年2月12日】
江差町内の「上町(うえまち)」という繁華街の、路地に少々入った所に建つ洋風な外観が特徴のレストランに行って来ました。旬感千年北海道のエリア(道南の西部9町)では珍しいイタリアンのお店です。入ったのはちょうどお昼時。メニューには、お得なランチセットや曜日別限定ランチセットがありますが、せっかく来たのだからということで、ランチ特別コースと単品のピッツァをオーダーしてみました。

すぐ出来上がるからと、まず調理してくれたのがピッツァ。生地を手際よく延ばし、間髪入れずに空中に投じると、もう丸い形は出来上がり。余りの早業で、十分に撮影できなかった程です。ところで、イタリアではピッツァのスタイルが地域によって数種類に分かれており、パレスではローマ風をチョイスしているそうです。特徴は、シンプルに生地を薄く、ふちを硬く、という具合。しかし、薄い生地でもモチモチ感を出すため、生地を練る際に一手間加えています。生地は通常小麦粉(パレスでは道南産!)を練りますが、そこに同級生の農家さんが生産する米粉を混ぜ、ふっくらモチモチ感を出しています。その米粉も評判の高い「ふっくりんこ」という品種にこだわっているそうです。程なく焼きあがったピッツァは、確かに外側はカリッとしていますが、中はモチモチとしており、複雑な歯応えを楽しむことができました。

続いて、コース料理が出てきました。メインのパスタには、今回特別に今が旬のガサ海老を使ってもらいました。そんな小回りの利くオーダーができるのもパレスならでは。シェフによると、今回は獲れたての海老でしたが、その時々により旬な地域の食材を色々と使っているとのこと。例えば、岩礁が多い江差町の海沿いで採れる岩のりや、お隣の厚沢部町からは黒豆、そして豚肉はこれまたお隣の上ノ国町産のフルーツポークといった具合。そして味を整える塩には、江差町からやや北に位置する八雲町熊石地区(日本海沿い)の海洋深層水から作る塩を使っています。この塩を味見させてもらいましたが、シェフがこだわるだけあって、むしろ甘みを感じるような深い味わいでした。

なぜ、このように地域の食材を色々と使うのか聞いてみると、シェフは生産者と話しながら食材を掘り起こしていくのが楽しいからなんだそうです。江差に戻ってから13年。少しずつ様々な食材や調理法などにチャレンジして来たそうですが、「まだまだ進化したい。様々な食材に出会いたい。」という気持ちを常に持ち続けているシェフでした。

食後に、シェフに店内を案内してもらうと、ホールの奥に立派なダーツマシンが。さらにその奥にはカラオケ機を備えた小部屋がありました。ここはレストランですよね?と聞くと、夜は居酒屋としても営業していて、地元の人に気軽に楽しんでもらいたいという思いから、このような設備を揃えたとのこと。その思いは、お店の外壁にも現れています。よく見ると外壁の上の方に、「Amore  Cantare  Mangiare!」と描かれていました。意味は「愛して・歌って・食べて!」。シェフの想いが込められています。

紹介ページはこちら

Translate »