旬感・千年北海道

青函トンネルを抜けて広がる、北の9都な物語

春 百「桜」繚乱の松前へ

「訪問日:2021.04.26

松前町、北海道最南端にあり、北海道唯一の城下町です。

日本全国屈指の桜の名所として知られる松前町は、約250種1万本の桜が城跡に咲き誇り、早咲きの品種から遅咲きの品種まで約1カ月間に渡って、最高の春を演出してくれます。松前の桜は、松前城やお寺、神社、海などの風景と共に楽しめるのはもちろんのこと、桜自体の色と形も豊富で好評です。

例年4月後半に桜が咲き始め、5月初旬に見頃を迎えますが、今年は1982年観測以来最も早い開花となりましたので、満開を迎える見込みの4月下旬に木古内から松前へ花見に行ってきました。

車で約1時間後、「道の駅 北前船松前」に到着しました。

国道228号線の海岸線にあるこの道の駅から、津軽海峡が一望でき、天候に恵まれれば青森県の竜飛岬が眺められます。また、眼下には北前船の寄港地、「日本遺産」に認定された「福山波止場」があり、江戸時代から荒波を越えた交易船の雰囲気も味わえます。道の駅内「うみかぜ食堂」では松前で獲れた本まぐろやしま海老などをたっぷりと使った海鮮料理も提供しています。

▼「道の駅 北前船松前」で津軽海峡を眺めながら食事できます。▼うみかぜ食堂▼ボリューミーな本まぐろ丼 1680▼福山波止場

道の駅から徒歩で10分、「桜の国」に入ってきました。

▼遠くから見ると、松前城はまるで「春の城」のようです。今回は松前歴史ガイドの飯田さんに案内してもらいました。江戸時代を思わせる衣装を身にまとっている飯田さんは松前の桜の歴史や品種、散策ルートなどを詳しく解説してくれた上に、桜に関する裏話も!

「松前の桜は品種が多いので、地元の人は「さくらが咲いてきた」と言うより、「南殿が咲いてきた」や「染井吉野が咲いてきた」など桜の品種が咲いたと話し、今年の桜の開花時期を確認し合います」と語りました。さすが松前の地元民ですね!

▼松前城の白壁と若葉の新緑に映えるピンクの花々いよいよ、松前城が近づいてきました。お城の前に染井吉野と南殿が満開、見頃となっています。飯田さんのお話によると、4月に入ってから平年よりかなり高めの気温でしたので、桜の開花スピードはもちろん早いですし、花の色も全体的に薄くなってきました。

▼松前公園では最も植栽本数が多い桜の品種「南殿」。本来は淡紅紫色の南殿が遠いところから白に見えました。▼松前城天守閣の裏手にある芝生地「松前城本丸広場」は桜を楽しむには最適の場所です。今年(2021年)は新型コロナウイルスの影響でステージイベントなどは中止となり、飲食や物販はこちらのみで行われます。快晴の日ですが、強い風が吹いたため、桜が散っていないか心配でした。飯田さんは満開の桜が風に揺れ続けてもあまり散らないと教えてくれました。桜、意外と強い!また、咲き始めた頃は桜の花の中心部が白色ですが、散るに向かっている時は中心の色が濃いピンクや赤に変わっていくということです。つまり、桜の花の中心部の色をみると、花びらが散り始めるタイミングがわかるのです。

▼お城の周りに「八重紅枝垂」も見られます。▼松前神社と桜の共演

道なりに沿っていくと、桜並木の隙間からちょこっと水路が見えました。木道で整備されたこの水路は「堀廻水路月琴堀」と呼ばれ、春になると満開の桜と豊かな緑が織り成す風景を満喫できるハイキングコースになります。桜の見頃が終盤を迎えているころ、散った桜の花びらが水面を流れていく様はとても綺麗でおススメスポットです。

▼松前城西辺にある「堀廻水路月琴堀」

裏道をどんどん進んでいくと、寺町エリアの一角にある浄土宗の古刹「光善寺」に参りました。

▼普段は静かで落ち着いた雰囲気の光善寺、桜の時期には華やかな色に染まります。光善寺境内に松前桜の名木「血脈桜」があります。その「血脈桜」自体は松前を代表する「南殿」の親木で、推定樹齢300年ということです。

▼高さ8m、横に17mに伸びる血脈桜。1973年に北海道記念保護樹木に指定されました。「血脈桜」に関する伝説もいくつか残っています。その中で最もよく知られているのは、約270年前に桜の精が美しい乙女の姿となって住持の枕元に現われ、血脈(亡くなった方が極楽浄土に行くように僧侶が与える証明書)を授けられた。翌日、住持は目が覚め、夢枕に現れた乙女は桜の精によるもの、そして血脈を与える重役に気づき、桜の木を切らないことにしました。この桜が300年も生き続けているのは桜の精のおかげかもしれません。

▼血脈桜の隙間から見える本殿。なんか神秘的な感じです。そばにある濃いピンクの花は梅です。

松前公園内は、桜以外にも様々なお花が春の訪れを告げてくれます。

▼関東より南でしか見られない「白花タンポポ」。龍雲院で栽培しています。▼コントラストが美しい!園内いろんなところで春の花を楽しめます。

今回は松前城やお城のすぐ北側にある寺町エリアで早咲きの桜を見物しましたが、中咲きと遅咲きがまだ咲いていないので鑑賞できません。中咲き、遅咲きは松前生まれの品種や松前でしか見られない桜が多いと聞いたので、「また来ます!」と即決しました。

 

「再訪問日:2021.05.06

追記:ゴールデンウイークが終わり、春爛漫の松前へ再訪問。

▼松前城に近い水堀の左岸に植えられている真っ白な桜は「雨宿」と言い、右岸にあるピンクの桜は「糸括」と呼ばれています。中咲きの「雨宿」と「糸括」が満開を迎え、春風と共に花びらが舞っています。お城の表情も一変し、咲いている桜の色に合わせるような落ち着いた雰囲気が漂っています。

▼お城を背景に咲き誇る「雨宿」右岸に植えられている濃い紅色の「関山」と希少な緑色の「御衣黄」は遅咲きで、三分咲き程度になりました。

▼松前神社に植栽している「御座の間匂」が見頃となっています。

桜の見頃エリアが、徐々に山側に移動しつつあるということなので、「新桜見本園」の方に向かって進んでいます。

「北鷗碑林」から「新桜見本園」に至る通路は、古くからある桜の品種や松前で育てられた新品種の桜が植えられています。

▼「大村桜」、淡紅色大輪の二段咲きで、大変珍しい桜の品種です。▼「虎の尾」、白い花弁に薄いピンクが入っています。雄シベの変化した旗弁が花の中央から出ている姿が虎の尾のように見えるので、「虎の尾」と呼ばれたのです。▼遅咲きの「菊桜」も五分咲き程度になりました。▼松前育成品種「蘭蘭」。松前固有の品種「白蘭」と「雨宿」を交配して育成された桜です。▼松前育成品種、遅咲きの「白絹」。▼松前育成品種「八重寿」。「毬山紅八重桜」と「糸括」を交配して育成選抜した品種です。

「新桜見本園」は110種類の桜が植えられ、「生きた桜の図鑑」と呼ばれています。今の時期だからこそ、ここで不思議な光景が見られます!園内の早咲きの桜が散り始めましたが、中咲きや遅咲きがちょうど見頃となっています。桜が舞い散って足元にピンク色の絨毯が広がっていると同時に満開の桜に彩られたトンネルができました。

▼松前の春を色鮮やかに染め上げる「桜のトンネル」。

津軽海峡を眺め、春の風格が漂う中、思わずのんびり.ゆったりとした気分になりました。

次なる道南の絶景との出会いを求めて、また旅に出るのです。

 

 

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