旬感・千年北海道

青函トンネルを抜けて広がる、北の9都な物語

観光バス『冬の江差号』のテスト運行に乗車しました

先日▼こちらのページでご紹介しました日帰りバスツアー『冬の江差号・松前号』

一つ前の投稿で『冬の松前号』のテスト運行に乗車した様子をご紹介しました。
▼ その試乗体験記はこちら

そして『冬の松前号』テスト運行の翌日、今度は『冬の江差号』がテスト運行されましたので、もちろん試乗してきました。

その試乗の様子をご紹介します。(長いです)

▼ ツアーの発着点が函館駅ロビーであることは松前号と同じです。

▼ やはり道南に詳しいバスガイドさんが同行してくれます。

今回の江差号は特に蝦夷地=松前藩の成り立ちについて関わりの深い地点を通るため、道中でその説明があることでしょう。

 

▼ 函館駅前を出発して約1時間後、木古内駅前に立ち寄ります。

木古内駅前では、本州方面から10:45木古内駅着の北海道新幹線はやぶさ1号でやって来るお客様との待ち合わせを行ないます。

東京駅6:32発、仙台駅8:06発、盛岡駅8:49発、新青森駅9:51発となるこの新幹線に乗車すれば、バスが着く時間に木古内駅へ到着できて、『冬の江差号』に乗車できるという訳です。

▼ 待ち合わせの時間中に駅前の「道の駅 みそぎの郷 きこない」でお買い物やお手洗いなど。

オンスケジュールなら、ここでは20分間程あります。旅のお供にビールやおつまみ等をお買い求めになられてはいかがでしょうか。

 

▼ 木古内駅前から1時間程で、日本海側にある上ノ国町の「旧笹浪家住宅」に到着。

この「旧笹浪家住宅」は江戸後期の18世紀前半頃に、代々ニシン漁を営んできた笹波さんが建てたと伝わる住居兼仕事場で、国の重要文化財に指定されている貴重な現存家屋です。

通常は冬期休館していますが、この「冬の江差号」ツアーのために特別に開けてくれています。

▼ 専門のガイドさん(写真左)が建物の成り立ちなどを紹介してくださいます。

 

▼ 展示品の中で特に目を引くのがこちら

「円空仏」です。

江戸初期に全国を旅しながら仏像を彫り続けた円空さんによる仏像は、北海道にも数多く残っています。

しかし、いわゆる御神体となっていたり、地域住民によって鍵付きのお堂で大事に保管されていたりして、観光客が自由に拝観できるものはほとんど無いのが実情です。

ですがここ「旧笹浪家住宅」では入館すれば誰でも見れるという、ある意味で貴重なスポットでもあります。

▼ 優しいお顔ですね。

 

▼ 郷土に伝わるお菓子「こうれん」のふるまいも

 

▼ 上ノ国町を後にして、次は江差町へ向かいます。

車窓から荒れる日本海と、その先に「かもめ島」を望みます。

 

▼ 江差町の「お食事処 えさし」でランチです。

 

▼ 江差らしさ満載の「網元 ニシン御膳」

ニシンそばにニシンの天丼にニシンの漬物にと、ニシン尽くしです。

 

▼ 中でもこちら、ニシンの鎌倉焼きは江差産ニシンを使っているそうです。

かつてはニシン漁による北前船交易で繁栄を極めた江差。毎年春先にはニシンの群れが江差の沿岸に押し寄せ、産卵により海が白く濁るほどでした。そのニシンの群れを「群来」(くき)と呼んだそうです。

しかし、乱獲などの影響もあり、明治後期を最後に江差ではニシンの漁獲がすっかり無くなってしまいました。ニシンで全国区になった江差でしたが、肝心のニシン漁ができないという皮肉な状況が長く続いていたのです。

その後、稚魚放流などの地道な活動が実ったのか、昨年2017年の2月28日には、何と104年振りの群来が確認されました。

(余談ですが、江差町では現在、今年の群来が何月何日に来るか?というクイズを開催しています。応募期間2/4まで )

群来が今後も安定してやって来て、江差の代名詞でもあるニシンがマチに溢れるようになるといいですね。

 

▼ ランチの次は、お隣りの建物「江差追分会館」へ移動します。

 

▼ 江差を支えた北前船交易と深い関わりのある「江差追分」の実演を鑑賞します。

 

▼ 実演が始まる前に、江差屏風を模した緞帳を元に、江差について説明があります。

何気なく聞き流してしまうかもしれませんが、この説明はしっかりと聞いてみるといいですよ。昔と今の比較など興味深い内容なので。

 

▼ 緞帳が上がると実演スタートです。

まずは、道南地方に伝わるナット節で幕開けです。(江差追分以外の曲目や唄い手は毎回同じとは限りません。)

 

▼ 続いて「江差追分」です。

今回の唄い手は、第29回江差追分全国大会の優勝者である木村香澄さんです。

やはりホンモノは違いますね。江差追分を唄い継いだ担い手たちの情念がその節々の合間から伝わってくるようです。

 

▼ 最後にソーラン節で賑やかに。

 

▼ 会場を出ると、木村香澄さんがお見送りしてくれ、お土産に「五勝手屋羊羹」を頂きました。

 

▼ 次は江差追分の資料館エリアに移動し、スタッフさんから解説があります。

江差に追分という地名はないのに何故「江差追分」が伝わっているのか?など、何でも教えてくれます。

 

▼ 江差追分の独特な節回しについても。

 

▼ 併設の「江差山車会館」

夏の江差を代表するお祭り「姥神大神宮渡御祭」で実際に使われている山車です。

ちなみに江差では山車を「だし」ではなく「やま」と読みます。

 

▼ 続いて、すぐ近くの「いにしえ街道」でガイド付きのまち歩きが始まります。

今回のガイドは室谷さん。「いにしえ街道」の活性化などに当初から携わってきた、いわゆる江差の生き字引と言っても過言ではない方です。

 

▼ 「いにしえ街道」を歩きつつ、沿道のお店にヒョイヒョイと入っていきます。

 

▼ こちらのお店「遊工房 紺屋」は雑貨屋さんですね。

 

▼ あちこち立ち寄りつつ、「木どりや カンナヅキ」へ

こちらは室谷さんらのグループが中心になって立ち上げた、江差産の木工品や手工芸品のショップです。

 

▼ 江差の独特な「屋号」について読み方クイズも

 

▼ 沿道の建物の細工についてもツッコミが入ります。

 

▼ 吹雪混じりのあいにくのお天気でしたが、そんなことお構いなしに和気あいあいとした雰囲気です。

 

▼ 続いて「壱番蔵」へ

 

▼ 壱番蔵の中では、とあるイベントの準備の真っ最中でした。

2月3日から3月18日まで、この壱番蔵が位置する「いにしえ街道」沿道の店舗や家屋で雛人形の展示を行う「北前のひな語り」というロングランイベントです。

いにしえ街道を散策しながら、道々の店舗の中や家屋の軒先などにある雛人形を見て楽しむことができるというイベントです。

ここ壱番蔵ではその準備の真っ最中だったという訳ですね。

 

▼ ちなみに壱番蔵はスイーツショップ兼カフェでもあります。

 

▼ 続いて、近所の「姥神大神宮」へ移動します。

▼ 社務所で「にしんみくじ」を引かせてもらいます。

▼ 「にしんみくじ」はこんな形です。洒落てますね。

 

▼ 参加者の皆さんは果たしてどんなくじを引いたのでしょうかね

 

▼ まち歩きが終わると、次はお隣りの乙部町へバス移動して、笹谷商店の工場見学です。

この「マルサ笹谷商店」は北海道で有数の水産加工業者さんでして、乙部町内に立派な工場があるのです。

 

▼ 専務の笹谷さんが直々に説明してくれます。

 

▼ 何を作っているかというと「たらこ」でした!

見学した時は、大量のたらこを大きさ別に選り分ける作業をしていました。

この写真にあるトレー内のたらこで果たして何杯のご飯を食べられるのでしょうか。

 

▼ 工場見学に続いて、近所にある直売店「釧之助」へ。

 

▼ まず作りたての「揚げかま」でお出迎えです。

 

▼ 「揚げかま」はこのようにその場で揚げて販売されます。

ホクホクでちょっとつまむのにピッタリな量です。

 

▼ 店内には豊富な種類の水産加工品がズラリと並びます。

 

▼ そして工場でも目にしたたらこですね。

 

▼ こちらはいつか味わいたい最高級品です。

 

▼ 乙部町の次は、お隣りの厚沢部町(あっさぶちょう)。まずは「道の駅 あっさぶ」へ。

厚沢部町はこの辺りでは珍しく海のないマチですが、その分農地が広大で、農業が非常に盛んなマチなのです。例えば、じゃがいもの一種「メークイン」は厚沢部町が日本での栽培発祥の地だったりします。

そんな厚沢部町の道の駅は付近の農家さんが直接持ち込む農産品販売が評判の高いお店です。

 

▼ 特産のメークインを使ったコロッケや、厚沢部産焼酎「喜多里」、厚沢部産黒豆茶の振る舞いです。

 

▼ このコロッケ、ただのコロッケではありません。

厚沢部町で毎年開催されている手作りコロッケのコンテストで優勝した作品なのです。

昨年優勝したこのコロッケはキノコの歯応えがしっかり残っていて濃厚でしたね。

 

▼ 季節柄、さすがに青果の種類は少なくなっているものの、それでもアスパラや大根、越冬メークインなど色々とありました。

 

▼ 道の駅の次は、郊外の「うずら温泉」に移動します。

ここでひとっ風呂、ではなく、「彩風塘」という中国料理店でディナーとなります。

 

▼ 料理長の宮川さんからご挨拶がありました。

 

▼ 今回のディナーはこちら

厚沢部産の材料を豊富に使っているそうです。

 

▼ 特にこちらの唐揚げは、衣が極薄なのにサックサクで美味しかったです。

 

▼ お腹いっぱいになったら、一路函館駅前へ。

函館駅前では2月末まで「光の小道」というイルミネーションが行われています。ゴールにふさわしい幻想的な景色ですね。

 

尚、厚沢部から函館駅までの途中に新函館北斗駅があります。

その新函館北斗駅を18:36に発車するはやぶさ38号に乗車して本州へ帰るお客様がいる場合は、同駅に立ち寄ることになります。

 

以上が「冬の江差号」テスト運行の様子でした。

ツアー本番の時とは細部が多少異なる可能性があるかもしれませんが、大まかな流れは今回の通りです。

なかなか体験できない、冬の道南エリアを巡るバスツアー。いかがでしたでしょうか。

 

▼ ツアーの詳細やお申込方法などはこちら

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